テンポを変える言葉

テンポを遅くする言葉を調べてみたら、面白いことに気がつきました。
「遅くする」言葉として、だいたいよく出てくるものに、
(1)allargando
(2)ritardando
(3)rallentando
がありますね。

(1)をよーーーく見てみると。。。(al)larg(and)o
なんと、Largo の文字が、


(3)には、(ral)lent(and)o
Lento という文字が見えます!!(もう知ってたって?すみません(^^ゞ)

Largoはみなさん覚えておられますか?
Lento とどっちが遅いんでしょう???
(そういえば、ドビュッシーに”Lentoより遅く” って曲、ありましたね)

まずは、Lento から。。。

Lento (slow)
同じ意味をあらわす英語としてslowがあげられていますから、これは
ほんとに「遅い」わけですが、用例となるとちょっと雰囲気が違ってきます。

passi lenti ゆったりした足取り
viaggio lento 悠長な旅

遅いというより、ゆったり、という感じでしょうか?


Largo幅広い、というニュアンスでした。
それも単にひろい、というより
服ならブカブカ
景色なら、まるでロシアの平原、何時間走ってもおんなじ景色。。。

だんだん混乱してきたあなた!
(1)allargando
(3)rallentando
どっちが、どのように、「より遅く」なると思いますか?
じっくり言葉の意味を味わってイメージしてみてください。

イタリア語の辞書を引いて、最初に出てくる意味は


○Largo

幅広い(wide)

○tardo のろい,遅れる

○Lento 遅い(slow)

 

日本の音楽用語辞典にはこう書いてあります。

●allargandoだんだん遅くしながらだんだん強く

●ritardandoだんだん遅く

●rallentandoだんだんゆるやかに、だんだんレントに


言葉の基本にあるニュアンスは、

allargando 広げる、拡大

ritardando 遅れる

rallentando 速度を緩める


また、広がる、にしても、具体的に、

広い場所を想像してみる。

目の前に広がる海。山の頂上から見た町の光景、

飛行機の中から見下ろした地上の様子。。。


五感をフルに使って、その言葉で作曲家があらわしたかったことを

理解しようとしてみると、

不思議とダイナミックスの変化なども自然とついてくるみたいです。


大切なことは、

言葉を日本語におきかえてわかったつもりになるのではなく、

自分の中の「感覚」「感情」をその言葉にシンクロさせることなのではないでしょうか?