ベートーヴェンが手に入れた最後のピアノは、グラーフ


ウィーン式のアクションを持っていたこのピアノは、

6オクターブと4度という、

ベートーヴェンの生涯で最大の音域を持っていました。

 

年代は1823−25年の間で定かではないそうですが、グラーフ自身が「ベートーヴェンの死の数年前にみずから作った」と後書いています。しかし、ベートーヴェンはこのピアノでは、ピアノソナタやコンチェルトを作曲する事はなかったといいます。

 

ベートーヴェンがウィーンで最後に住んでいた部屋。

 

なんとも乱雑な部屋でベートーヴェンが作曲していた様子を想像すると楽しいですね。この頃のピアノも、決してまだ堅牢とは言いがたく、ベートーヴェンは不満をもっていたとか。


コンサートの時にベートーヴェンが弾く端からピアノの弦が切れ、譜めくりがかりがハンマーに引っかかった弦を外し続けなければいけなかった、というから、すごいものですね。

ヨーゼフ・シュティーラー作(1819−20)死後もっとも有名になった肖像画。左手に持っているのは、「ミサ・ソレムニス」の楽譜。