ベートーヴェン所有のエラール。

1803年製。音域は、F1-c4(5オクターブ半)

 

ベートーヴェンは、1803年の夏

このピアノをフランスのエラールから寄贈されました。

 

 

 

ペダルは、4つもついてます。

 

ピアノ・ペダル、

ダンパー・ペダル。

リュート・ペダル、

シフト・ペダル。


アクションは力強い音の出るイギリス式の突き上げ式


タッチは重く、早いパッセージが苦手。

 

そのかわり、和音が豊かに響き、

低音も大きな音量で出すことができました。



音量、音域の広がりを十分に生かしたパッセージ、

高音と低音の対比など、

ベートーヴェンはこのピアノの性能を十分に生かし、

 

ヴァルトシュタイン(作品53 1803-4年作曲)や、

熱情(作品571804-5年作曲)を作曲しました。


ちょうどこの頃までに、

交響曲第2番を作曲していたベートーヴェンの頭のなかで響いていたのは、

オーケストラの響きだったのかもしれません。

 

とはいえ、オーケストラの響きといっても、

まだまだ今の私たちのオーケストラのイメージとは程遠いものだったかも。。。

 

 


ホルネマン作(象牙細密画、1802または03年)ベートーヴェン自身この肖像画を気に入っていたそうです。(ハンサム?)

編成は、

木管楽器(フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴット)それぞれ2本。ピッコロはまだ入っていません。金管楽器はホルンとトランペットだけ。そして、ティンパニ。
楽器自体も、現代の楽器に比べるととってもシンプル。

 

音量、音色も違いますし、キーもほとんどついていない当時の楽器でベートーヴェンの曲を演奏するのは、とても難しかったんじゃないかなあ、と思います。


私は、ピリオド楽器、その当時の奏法で演奏するのでないと、だめ、とも思いませんし、逆に、現代の楽器で演奏するほうがいい、とも思いません。もちろん、「自分の好みはどちらがいい」とは言うことはできますが、どっちが良い、悪いということ自体が意味のないことのように思うのです。

ただ、作曲家が吸った空気感のようなものを共有、共感するためにも、ピリオド楽器での生の演奏に接した経験がある方がいい、そうすることで現代の楽器での演奏も変わってくるのじゃないかな、ということは思っています。


えてして人間というものは、「自分の知ってるあれ」でないと、受け入れない、という傾向がありますが、すこ~し、自分の耳と感じ方を柔軟にしておいたほうが、いろいろなものが見えて来て楽しいんじゃないかな。。。