モーツァルトが1782年ごろに買った、ワルター作のフォルテピアノ。
標準的な音域は5オクターブで、
ハンマーはとても小さくて軽く、軽快なタッチと、繊細な音色が特徴でした。
ハンマー、といっても、指の先、という感じで、
先には鹿の皮が巻いてあったそうです。
今日のピアノのような複雑なアクションではないので、
タッチがそのまま音になってしまう。。。
現代に復元されたウィーン式フォルテピアノを弾いたことがありますが、
なんとコントロールが難しかったこと!
自分の指が5本、「太さが違う」ということを認識させられた、と書いたらおわかりでしょうか?
音階1つ弾くにしても、なかなか均等な音量、音色で弾くのは難しかったです。
また、写真をみてもお分かりのように、ペダル、というものがありません。
もちろん、ダンパーはあるんですが、足ではなく、膝で操作するので、
これまた、思うタイミングでペダルの効果を出すのに悪戦苦闘しました。
現代のピアノに慣れきってしまった私たちには、大変な面もたくさんある
ウィーン式フォルテピアノ。とはいうものの、
演奏家の思い、感情を、そのまま伝えるような、そんな演奏が可能であり、
ダイナミックかつ繊細な音を響かせることのできるた、
ウィーン式のフォルテピアノって、
そのころの人にとってとても魅力的だったのではないでしょうか?
「ウィーン式アクションは、
きわめて繊細な手でも容易に弾くことができる。
演奏者はこのアクションによって、
さまざまなニュアンスをこめて弾くことが可能である。
はっきり弾いたり、丸みのあるフルートのような音をだすこともできる。
大して骨をおらずに流暢に弾くこともできる」
(フンメル「ピアノフォルテ奏法」1828年)
写真はモーツァルトファミリー。
ひょっとしたら世界で初めての連弾の光景かもしれませんね。
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