正しいクラヴィ―ア奏法5


エマニュエルバッハの言う良い演奏表現とは、
 
「楽想を歌ったり、演奏したりして、その曲の真の内容とアフェクトを聴衆の耳に感じ取らせること」
でした。

その曲の真の内容とアフェクトに対する洞察力を得るために、また、
必要な記号がなくても、その音をレガートで弾くか、スタッカートで弾くべきか、装飾音を弾くときは何に注意すべきか、などを判断できるようになるために、エマニュエルバッハが推薦している事は。。。

機会があるごとに独奏、合奏を聴く事。

これは、当時は、今の私たちが考えるほど、簡単な事ではないですね。
 
あちこちでコンサートが開かれてる時代ではないですし、自動車も電車もなかった時代、そう簡単によその町まで演奏を聴きにいく、ということも難しいでしょう。だからこそ、評判の演奏家の演奏会があると聞くと、何百キロも歩いても、聴きに出かけていったのでしょう。

ただ、エマニュエルバッハは、そういう点では幸運だった、と書いています。
 
それは、彼の住む町を訪れた一級の作曲家たちは、たいてい彼の父、セバスチャンバッハを訪問し、演奏する事なしにはその地を離れなかった、という点。

父セバスチャンバッハは、作曲や、オルガン、クラヴィーアの演奏において非常にすぐれているということがよく知られていたので、この偉大な音楽家をいっそう良く知るようになる機会を逃したくないと、みんな考えていた、ということです。

だからエマニュエルバッハは若い頃から、あらゆる種類のすぐれた音楽を聴いたり、多くの大家たちと知り合いになったり、という幸運に恵まれていた、と書いています。
 
なるほど~